秋田県美郷町の会社が、現在、同町で栽培したコーヒー豆の発売準備を進めている。
国内でも沖縄や九州など温暖な地域で栽培され、福島県広野町や山形県山形市など東北地方での栽培例はあるが、「豪雪地帯で農薬を使わずに作ることに意義がある」と、県内陸部に位置する降雪量の同町で農業の6次産業化事業を手掛ける秋田食産が、2018(平成30)年10月からコーヒーのハウス栽培に取り組む。
氷河期の凍結・解凍現象を人工的に再現することで、植物の耐寒性を引き出す栽培技法「凍結解凍覚醒法」を使い、日本名水百選(環境庁)に選ばれる町内の六郷湧水群を生かして、コーヒーの品種ティピカ種を栽培する。霧や病気に弱く栽培に手間がかかることから国産コーヒーでは珍しい品種をあえて選んだ。商品名は「雪国珈琲(ゆきぐにこーひー)」。
コーヒー豆の加工時に出る果肉などの副産物(カスカラ)やコーヒーの葉などは、乾燥させるなどして茶として生産する。
佐藤良一社長は「農業の新たなモデルケースとして、当町の新たな産業を目指して取り組む当社事業の一環」とし、「紅茶のようなフレーバーとベリー系の甘さを持つ上品な味に仕上がったコーヒー豆。ポリフェノールを豊富に含み低カフェインのカスカラは、ローズヒップティーやハーブティーのような味わい。葉は香ばしく、ほうじ茶のようなコクとまろやかさがある。皆さんに楽しんでもらえれば」と話す。
商品は、現在、クラウドファンディングで扱う。今後、同社直営のコムニタ(美郷町)、アメヤコーヒー(男鹿市)などで販売を予定する。