湯沢市の伝統行事「七夕絵どうろうまつり」会場で8月5日~7日、秋田県出身の画家・橘小夢(さゆめ)の作品をラベルに使った特産品が販売された。
湯沢市の地元絵師が橘小夢の作品「玉藻前」をモチーフに描いた「九尾の狐」の絵どうろう
1892(明治25)年に生まれ16歳で上京した橘小夢。大正から昭和初期にかけ流行雑誌や小説の挿絵、装丁などで活躍。妖美な女性を描き、怪奇ミステリーや伝奇、幽霊譚といった物語に多数採用される。関東大震災や東京大空襲などにより多くの作品が失われ、「幻の画家」ともいわれる。
同市内に本社を構える「秋田銘醸」「佐藤養助商店」「くらた」の3社が、橘小夢の代表作「花魁(おいらん)」を商品ラベルに使い、それぞれ「純米大吟醸酒」(1,450円)、「稲庭うどん」(3,240円)、ゼリー「銘酒物語」(3個入り=1,100円、6個入り=2,000円)を用意。まつり会場に橘小夢のあでやかな作品をモチーフに地元絵師が描いた絵どうろうも飾られ、訪れた観光客の目も楽しませた。
販売を企画した山内功さんは「当市出身の文人・帯屋久太郎が同人誌を通じて橘小夢と親交を持ったことから、市内には貴重な肉筆作品も残されている。橘小夢の画業は近年見直されており、地域の人にも広く知っていただくきっかけになれば」と話す。
同商品は、秋田県立近代美術館(横手市赤坂)で9月17日から開かれる「橘小夢とその時代」展でも販売を予定する。