秋田県の美郷町歴史民俗資料館 (美郷町)で3月5日、シンポジウム「わらの文化・入門の集い」が開かれた。
昨年10月に開館した同館で展示する600点に及ぶ「わら細工」と美郷町に残るわら細工の技術の保存と活用を図るため、美郷町教育委員会が開いた。基調講演の講師に宮崎清・千葉大学名誉教授を招き、県外からの参加者も含め100人以上が参加した。
宮崎さんがコーディネーターを務めたパネルディスカッションでは、同館で展示する「わら細工」を旧千畑町住民グループ「ふるさと懇話会」とともに収集、保存してきた横手市の一ノ宮繁さんが「わら細工は全ての技術の原点といえるもの。これだけわら細工がそろうのは国内でも珍しいと聞いたので、町でもこの財産を生かす取り組みをしてもらいたい」と期待を込めた。
一般参加者からも「専門的になりすぎると学ぶ人はついていけない。技術の保存と伝承(親しむこと)は違う取り組みが必要なのでは」「小さなわら細工でも室内にあると大変落ち着く。技術の継承とともに販売も考えていってもいい」など、さまざまな意見が出された。
松田知己美郷町長は「わらには美郷の風景に通じる、無意識に感じる美しさや安心感がある。わら文化に親しむ機会づくり、環境づくりをしていく個人や団体を支援していきたい」と話した。